欧州で、ソフトウェアの特許出願について、考量しなければならない問題は、「発明意義に符合する対象」及び「技術性を備えるかどうか」のこと。
★「発明意義に符合する対象」について
☆欧州特許条約には、
「
以下各号は、発明の意義に合致しない。
(a)発見、科学原理または科学方法
(b)美術創作
(c)計略、ルール、人類心知活動またはゲーム、商業の方法、及び、コンピュータプログラム
(d)情報提示
」が明白に規定されている。
その内、「ソフトウェア」、即ちコンピュータプログラムは、発明の意義に合致しないものである。
なお、欧州では、コンピュータプログラムに関するものであれば特許にならないかというとそうではなく、欧州特許条約の直後の規定で、上記の規定が対象そのものを対象とする場合のみ不適格とされることが追加され、すなわち、コンピュータプログラムそのもののみが特許対象から除外される。つまり、請求項の一部がコンピュータプログラムに関するものであっても、別の部分がそうでない限り、請求項全体としては適合であるとみなされることになる。
この規定に基づくと、欧州では、コンピュータプログラムに係る発明は、通常、「コンピュータ実現の発明」として保護することができ、即ち、コンピュータ、コンピュータネットワーク、またはその他のプログラム可能な装置を特許の対象として、ソフトウェアは特許の対象ではなく、その機能を実装するために使用される。
★「技術性を備えるかどうか」について:
☆欧州特許審査マニュアルでは、発明は技術性(technical character)を備えなければならない。発明は、コンピュータプログラムに係っても、技術性を備えれば、特許性を可能にすることから排除されない。
コンピュータプログラムは技術性を備えるかどうかの判断は、コンピュータプログラムがコンピュータで執行された際に
プログラム(ソフトウェア)とコンピュータ(ハードウェア)の間の通常物理効果を超える更なる技術的効果(a further technical effect)をもたらすことである。
コンピュータプログラムの実行による通常の物理的効果(例:電流)は、それ自体でコンピュータプログラムを技術的なものにするには不十分であり、更に技術的効果を有する必要がある。コンピュータプログラムは、更なる技術的効果をもたらすとき、それ自体が技術的であり、これに対して、定義または技術的手段の使用の請求項の主題は、発明の意義に符合する。
コンピュータプログラミングが「機器で執行可能な方法を定義する」という技術考量に係るが、これが1つのコンピュータ演算法を見出してあるプログラムを完成するだけであり、それ以外の技術考量が必要であり、そうでない場合、プログラミングされたコンピュータプログラムが技術性を備えることを証明するのに十分ではない。
更なる技術効果について、コンピュータプログラムが処理の性能または安全性、コンピュータが必要とする資源の管理、または通信リンクのデータ転送の速さを影響できるものであれば、更なる技術効果をもたらし、技術性あると認定される。その逆に、発明は、単にデータの出所を定義するもの、または速度効率の改善が演算法に基づくものであれば、技術性を備えないため、不適合となる。
※出願要領:
以上の内容によれば、欧州でソフトウェアの特許出願の際、上述の問題を有効に回避するために、以下の出願要領がまとめられる。
1、欧州では、発明は全体がソフトウェアである場合だけで不適合と判断されるので、ソフトウェア発明の特許は、ソフトウェアを全体そして出願するべきではなく、コンピュータなどのハードウェア装置で実現する技術的方向で出願することが好ましい。
2、欧州では、発明は技術性を備えることが要求されているので、ソフトウェアが執行される際に、その技術性を証明できるように、コンピュータのソフトウェアとハードウェアの効果の基本作動以外の更なる技術効果をもたらすことが好ましい。
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