中国の太陽光発電大手2社による、今年初めから大きな話題となっていた特許紛争がついに終結した。隆基緑能(LONGi Green Energy)と晶科能源(Jinko Solar)は、特許訴訟和解に関する共同声明を発表し、両社は世界各地で進行中の全ての特許訴訟手続きを終了し、互いが保有する一部のコア特許についてクロスライセンス契約を結ぶことで合意した。
声明では具体的な技術名には触れていないものの、これまでの訴訟内容や業界関係者の見解から、両社はBC技術およびTOPCon技術 に関する特許で和解に達した可能性が高いとされる。これにより、双方の技術特許を相互に利用できるようになり、熾烈な競争が続く現状において、企業の技術開発や製品革新を後押しすることになるとみられている。
界面新聞の報道によると、声明は「今回の和解および特許ライセンスは、双方が知的財産権を尊重し、協力とWIN-WINを追求する良好な意思を示すものであり、業界における持続可能な知財パートナーシップの模範となる」と述べた。両社は今後も新技術開発に注力し、先端技術の商業化と応用革新を加速させる方針で、さらにはより深い協力関係を模索していくという。太陽光発電業界は現在、従来の単純な価格競争から脱し、技術革新によって推進される高品質な発展段階へと移行しつつある。
隆基緑能と晶科能源の特許紛争は、昨年後半から頻発し、今年初めに激化した。両社は互いに特許侵害を主張して訴訟を起こし、中国本土だけでなくオーストラリアにまで訴訟が拡大していた。
近年、技術の進展や業界における知的財産権への重視が高まるにつれ、太陽光発電分野の特許紛争は増加傾向にあるが、最終的には和解で決着するケースが多い。ただし、特許訴訟は必ずしも最終判決を目的とするものではなく、競合他社の事業競争力を制限するためのビジネス戦略として用いられる場合も多い。特に海外市場では、顧客が取引先を選定する際、訴訟リスクの有無が重要な判断材料となる。
TOPConおよびBCは次世代太陽電池技術に属し、近年、太陽光発電企業が重点的に取り組んでいる技術分野である。
晶科能源はTOPCon分野のリーダーであり、2025年上半期の財務報告によると、累計特許出願件数は5,500件、そのうち発明特許が75%を占める。また、同期の特許関連費用は0.14億人民元で、前年比約50%増加した。晶科能源は2025年末までに40~50GW規模の高出力TOPCon生産能力を確立する計画がある。さらに、同社はBC技術にも参入を計画しており、すでにBC研究開発ラインを構築。上半期決算で、新型BC電池の変換効率が最高27.2%に達したと明らかにした。
一方、隆基緑能はより早い段階からBC技術に注力しており、これまでに3,500件以上の特許を取得、そのうちBCモジュール関連特許は480件にのぼる。2025年6月末時点で、同社のHPBC 2.0セルの生産能力は24GWに達している。また、一定規模のTOPCon生産能力も保有している。
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