2026-09-16[特許出願、商標出願]TSMCエンジニア、BCDプロセスの機密情報を撮影して退職 懲役1年・執行猶予2年、半導体業界での勤務を禁止

台湾積体電路製造(TSMC)のベテランエンジニア、カイ(仮名)が、自宅でスマートフォンを使って「BCDプロセス技術トレーニング教材」などの社内機密資料を撮影し、さらにその内容を複製して私用パソコンに保存した後、わずか3日で退職した。TSMCの内部監査で異常が発覚し、同社が直ちに告訴したことで、台湾の法務部調査局も捜査に乗り出した。台湾の知的財産及び商業裁判所は、営業秘密法違反に当たるとして懲役1年、執行猶予2年を言い渡したほか、国庫への30万台湾ドルの支払いと厳格な競業避止義務などを命じた。

判決によると、カイは2019年7月からTSMCでベテランエンジニアとして勤務し、パワーICプロジェクトのプロセス開発などを担当していた。入社時に雇用契約を締結し、秘密保持義務を負っていたほか、定期的にオンライン教育を受講し、オンラインテストにも合格していたことから、TSMCの機密情報保護方針や情報セキュリティ管理に関する規定を熟知していたと認定された。

また、社内情報へのアクセスは「Need to Know」の原則に従う必要があり、権限を逸脱してTSMCが一般に公開していない技術上の機密情報を複製したり、社外に持ち出したりしてはならないことも認識していたという。
ところが、カイは退職を計画し、2024年12月10日午後7時ごろ、台湾・新竹市の自宅で、会社から支給された業務用パソコンを使ってTSMCのサーバーにリモート接続し、ネットワークストレージ「Mドライブ」にアクセス。「BCDプロセス技術トレーニング教材」などの機密ファイルを閲覧する際、スマートフォンを取り出してパソコン画面を繰り返し撮影した。その後、これらの営業秘密を複製し、私用パソコンに保存したとされる。

3日後、カイは正式に退職を申請した。TSMCは内部監査で不審なアクセスを発見し、直ちに新竹地方検察署に告訴。台湾法務部調査局新竹市調査站も捜索を実施し、事件の全容解明に乗り出した。

知的財産及び商業裁判所は、カイが犯行を認め、前科がなく、犯行後の態度も良好だったことなどを考慮し、一時的な判断の誤りから犯行に及んだと認定。その上で、営業秘密法に基づき、営業秘密を知り、または保有する者が、権限の範囲を逸脱して当該営業秘密を複製した罪に問われたとして、懲役1年、執行猶予2年を言い渡した。

さらに、執行猶予期間中の保護観察に加え、国庫に30万台湾ドルを支払い、2回の法治教育を受けるよう命じた。また、他の半導体ウェハー関連などの競合企業に就職したり、その他の方法でサービスを提供したりすること、TSMCの従業員を引き抜くことを禁止した。このほか、定期的にTSMCの法務責任者に対して書面で就業状況を報告することも命じられ、これらの条件に違反した場合は執行猶予が取り消される可能性がある。なお、判決には不服申し立てが可能となっている。