台湾の公平交易委員会(公平会)は2022年、条件付きの措置を付した上で、台湾の大手スーパー「全聯福利中心」による「大潤発」の買収を認めた。しかし2024年、公平会は全聯が「最恵顧客政策を採用してはならない」とする条件に違反したと認定し、2000万台湾ドルの制裁金を科した。これを受け、全聯は行政訴訟を提起。台北高等行政法院は全聯側の主張を認め、公平会による処分を取り消した。これについて公平会は今回、処分決定に際しては慎重に検討し、証拠も十分にそろっていると判断していたと説明し、次回の委員会会議で控訴するかどうかを決定する方針を示した。
公平会は2022年、一定の条件を付す「負担」を課すことで、全聯による大潤発の買収を禁止しなかった。その条件の一つが「最恵顧客政策の禁止」であり、全聯に対し、「他の小売流通事業者における商品の販売価格を、双方の価格交渉の基礎として、より有利な条件または同等の条件を求めてはならない」とする制限を課した。この条件は、公平会が全聯による大潤発買収を認める上での「重要な核心部分」と位置付けられており、当時、全聯もこれを遵守することを約束していた。
ところが、公平会は2024年の調査で、全聯が他の小売流通事業者による値引き率を依然として価格調整の条件として利用し、納入業者などの仕入れ先に対して同じ割合での値下げを要求していたと認定した。さらに、一部では契約違反時の違約金まで定められていたという。公平会は、これにより上流の納入業者に対し、下流の小売流通事業者間の競争に伴うコストやリスクを負担させることになるとして、全聯に2000万台湾ドルの制裁金を科した。しかし、全聯が行政訴訟を起こした結果、裁判所は全聯側の主張を認め、公平会の処分を取り消した。
これに対し公平会は5日、控訴するかどうかについては、委員会での議論を経て決定すると発表した。特段の事情がなければ、公平会は通常、毎週水曜日に委員会会議を開催しており、できるだけ早期に結論を出すとしている。公平会は、裁判所の判決内容と委員会の決定に基づいて対応する方針で、判決に引き続き検討すべき点があると判断した場合には、控訴する可能性がある。一方、控訴しない場合でも、判決で指摘された問題点を補強・補充するための調査を行った上で、改めて処分を行う可能性がある。
公平会はさらに、裁判所が一部の事項について事実関係が十分に解明されていない、あるいはさらなる調査が必要だと指摘した場合には、追加調査や事実関係の確認を行った上で、改めて処分を検討することが可能だと説明した。公平会の報道担当者は、処分を決定した際には証拠が十分にそろっていることを確認し、慎重に判断したと強調。その上で、裁判所がどの点について異なる見解を示したのか、また法律解釈のどの部分で見解が異なるのかを明らかにする考えを示した。
これまで、公平会が「公平交易法」に基づいて企業を処分した場合、処分を受けた企業の多くが行政訴訟を提起してきた。訴訟が長期化することで制裁金の徴収が遅れるほか、公平会側が敗訴するリスクもある。一方、統計によると、公平会が過去約25年間に処分した企業は5597社に上り、その処分が裁判で維持された割合は94.9%に達している。
公平会は、行政訴訟を通じて執行の実効性を高めることができると説明している。勝訴した場合には、裁判所が関連する法解釈や調査手法、証拠認定を支持したことを確認できる一方、敗訴した場合には、今後の法執行に向けた教訓として判決内容を生かすことができるとしている。
