AI計算需要の拡大で知財競争が激化 台湾・中国の20社と関連企業を調査、通知受領後20日以内に答弁書を提出
米国国際貿易委員会(USITC)は9日、特定の垂直電力供給システムおよび関連コンピューティング機器を対象に、米通商法337条に基づく調査を開始したと発表した。人工知能(AI)サーバー向けの電力供給技術が関係しており、台湾の大手電源メーカーであるデルタ電子、AIサーバー大手の鴻海精密工業や広達電脳、中国の立訊精密工業や工業富聯(フォックスコン・インダストリアル・インターネット)など、計20社および関連法人が調査対象に含まれている。
USITCの発表によると、米国の電力変換技術メーカー、Vicor Corporationは9月9日、申立書を提出し、複数の企業が米国に輸出・販売している垂直電力供給(Vertical Power Delivery、VPD)システムや部品、および同技術を搭載したコンピューティング機器について、特許権を侵害している疑いがあると主張した。VicorはUSITCに対し、限定的排除命令および侵害行為停止命令の発令を求めている。
USITCが公表したリストによると、台湾企業ではデルタ電子、鴻海精密工業、広達電脳のほか、それぞれの子会社や関連会社が調査対象に指定された。鴻海グループ傘下の工業富聯、サーバー関連企業の鴻佰科技(Ingrasys)およびその米国法人も対象に含まれる。広達傘下の雲達科技(QCT)とその米国子会社も調査対象となった。中国企業では、立訊精密工業、東莞立訊技術のほか、芯源系統(Monolithic Power Systems)の成都および上海にある関連会社が名を連ねている。
米国の337条調査は、1930年関税法第337条に基づく制度だ。調査開始後、被申立企業は通知を受領してから20日以内に答弁書を提出する必要がある。USITCは45日以内に最終決定の目標期日を設定し、通常、案件は12~16カ月以内に判断が下される。
申立人であるVicorは、電力変換制御、パッケージング、システムアーキテクチャなど、幅広い分野で特許を保有している。今回の争点となる垂直電力供給システムは、データセンターや高性能コンピューティング(HPC)、AIサーバーにおいて、効率的な電力供給を実現する重要な構成要素だ。世界的にAIの計算需要が急増するなか、この分野をめぐる知的財産権の競争は一段と激しさを増している。
Vicorが337条調査を申し立てるのは今回が初めてではない。Vicorとデルタ電子は一部製品で直接競合しており、2023年以降、USITCや米国の地方裁判所で特許侵害をめぐる争いを繰り広げてきた。当時は鴻海も被告に含まれ、電力変換器が争点となっていた。昨年5月には、Vicorとデルタ電子が合意し、関連する地方裁判所での訴訟を取り下げた。
しかし、Vicorは今年初めに再び攻勢に転じ、異なる電源モジュールの供給業者や、その下流の顧客を相手取り、計3件の訴訟を提起した。そのうち1件では、芯源系統に加え、同社の顧客である広達電脳と緯穎科技(Wiwynn)が被告に含まれている。今年7月には、芯源系統とデルタ電子が共同で、Vicorに対して営業秘密侵害および特許侵害をめぐる反訴を提起した。
