英国高等法院は、韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)と中国のZTE Corporation(中興通訊)との間で争われていた標準必須特許(SEP)のライセンス紛争について、ロンドン時間5月1日、一審判決を下し、2021年にライセンス契約が満了した後、サムスン電子は中興通訊に対し、グローバルなFRAND(公平・合理的かつ非差別的)原則に基づく一括ライセンス料として3億9200万米ドルを支払うべきと判断した。
今回の争点は、中興通訊が保有する携帯電話関連SEPの使用許諾を巡るもの。これに対し、中国・重慶市第一中級人民法院も、両社のクロスライセンス契約に関するFRAND料率を認定し、中興側が提示した「6年間・総額7億3100万ドル」のライセンス案がFRAND原則に適合すると判断している。
海外メディアによると、両社は複数の国で訴訟を展開しており、英国法院が示した3億9200万ドルという金額は、サム1スンが主張した上限2億ドルを上回る一方、中興が求めた7億3100万ドルを下回る水準となった。なお、これは一審判決であり、双方には控訴の余地が残されている。
一方で、ドイツ、ブラジル、中国、さらに欧州統一特許裁判所(UPC)の判断は、概ね中興側を支持する流れとなっている。
英国高等法院のRichard Meade判事は、最終的に双方の主張の中間にあたる数値を採用した。今回、裁判所は「比較可能なライセンス(comparable license)」方式のみを採用して料率を算定し、「トップダウン方式(top-down)」によるクロスチェックについては明確に退けた。判事は「裁判所にはその手法を用いる権限はあるが、義務ではない」と述べた。
特に注目を集めたのは、ドイツ・ミュンヘン地裁の判断だ。2025年2月、同裁判所は中興の提示したライセンス条件を精査したうえで、サムスンが提起した侵害訴訟を棄却。SEP訴訟において、被告がFRAND抗弁によって勝訴した初の事例となった。
特許アナリストの一人は、今回の争いは、もはや通常の商業交渉や訴訟の範囲を超え、各国の司法制度を利用した「法廷争奪戦」へと発展している、と指摘する。
サムスンは2024年12月、先手を打つ形でロンドンで提訴し、英国を世界的なFRAND料率決定の中心に据えようとした。一方、中興は重慶法院の管轄を主張。その後、係争はドイツ、ブラジル、米国、UPCへと急速に拡大した。
現在の司法判断の流れを見る限り、全体としては中興側が優勢との見方が強い。ブラジル法院は2025年1月、サムスンに対する仮差止命令を復活させ、交渉過程における引き延ばし戦術を問題視。ブラジル控訴法院も、サムスンのFRAND主張を退けている。
さらに、UPCマンハイム支部は昨年4月29日、サムスンのFRAND抗弁を否定。米カリフォルニア連邦地裁も同年2月、サムスンが提起したFRAND契約訴訟を棄却しており、世界各地で中興優位の判断が相次いでいる。
