台湾の中央研究院が、米IT大手のマイクロソフトに対し、特許侵害訴訟を提起したことが分かった。中研院研究員の許聞廉氏が発明した「Typing candidate generating method for enhancing typing efficiency(入力効率向上のための候補語生成方法)」が無断使用されたとして、5月14日に米テキサス東部連邦地方裁判所へ提訴した。
中研院は21日、「本件については少なくとも3~4年にわたり事前協議や準備作業を進めてきたが、相手側から前向きな回答が得られなかったため、法的措置に踏み切った」と説明した。
特許概要によると、この発明は、スペルミス、タイプミス、綴りの不確実性、アクセント記号付き文字の入力などによる負担を軽減し、入力効率を向上させる技術。複数の候補語生成方式を提供し、ユーザーが候補リストから適切な語句を選択できるほか、自動選択機能によって最適な候補語を提示する仕組みを備えている。
中研院によれば、研究者自身が技術成果の無断利用を発見した後、院内で技術検証や協議準備、ライセンス交渉などを進めてきた。合法的なライセンス契約を通じて産業応用につなげることを目指していたが、数年にわたる交渉でも相手側から明確な対応が得られず、最終的に訴訟提起に至ったという。
また、中研院は、この技術が情報技術分野に属し、台湾および米国ですでに関連特許を取得済みであることを強調。主な用途として、ソフトウェア製品に搭載される入力システムや文字入力機能が挙げられるとしている。
一方で、中研院は「今回の提訴後も、マイクロソフトとの協議の余地は残している」と説明しており、対話継続の可能性を完全には否定していない。
さらに中研院は、「研究成果は公共資源を活用して生み出されたものであり、社会還元を目的としているが、同時に知的財産権の保護も極めて重視している」とコメント。商業利用には通常、対価関係や潜在的利益の評価が必要であり、仮に無償提供の場合でも、過去の感染症流行時に検査試薬を無償利用させたケースのように、正式なライセンス手続きを経る必要があるとした。その上で、「研究成果が権利侵害の形で利用されることは望ましくない」との立場を示した。
