不明なユーザーがAIで声を模倣、180本以上の動画を投稿
日本の人気アニメ作品『呪術廻戦』の登場人物「七海建人」の声を担当し、俳優としても活躍中の人気声優、津田健次郎氏が、生成的人工知能(AI)を利用して無断で自身の声を模倣し、制作した動画をインターネット上に投稿されたとして、動画共有プラットフォームTikTokの運営会社に対し、関連動画の削除を求める民事訴訟を正式に提起した。
津田健次郎氏、昨年は台湾観光PR動画のナレーションを担当
日本メディアの報道によると、津田氏は訴状の中で、2024年7月から2025年9月までの期間、不明のユーザーがTikTok上で180本以上の動画を継続的に投稿し、その全てが本人の許諾を得ていない生成型AI技術を使用し、津田氏の特徴な声を模倣してナレーションを付けたものだと指摘した。
津田氏は、投稿者が自身の声を模倣したナレーションを意図的に利用することで、視聴者の関心を引き、再生数を獲得しており、有名人が自身の経済的価値や影響力を独占的に利用できる権利である「パブリシティ権(肖像の商品化権)」を著しく侵害していると主張している。
このため津田氏は2025年11月、東京地方裁判所に提訴し、TikTok運営会社に対して侵害に該当する動画の全面削除を求めた。
しかし、津田氏の代理弁護士によると、TikTok運営側は、問題となっている動画のナレーションについて「一般的な男性の声にすぎない」と反論。また、動画は声だけによって視聴者を引き付けているものではないとして、津田氏の訴えを退けるよう裁判所に求めている。
津田氏は台湾との関係も深く、2025年には台湾交通部観光署の要請を受け、その魅力的な美声を生かして台湾観光PR動画のナレーションを担当。阿里山や迪化街商圏の魅力の発信に貢献した。
また、津田氏は過去に俳優として、台湾の著名映画監督・楊徳昌氏が手掛けた名作映画『一一(エドワード・ヤンの恋愛時代)』にも出演している。
著名人の容姿や声が本人の許可なく利用される事例が増加する中、さらに生成的AI技術の悪用による社会問題が議論されていることを受け、日本法務省は先月、専門家や学識経験者による検討会を正式に設置し、AI技術の利用によって他者の権利を侵害した場合に発生する民事責任について検討を進めている。
